- 2026.06.30
- コラム
「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の違いは?どちらを取得すべきか
建設業許可を取得する際、許可要件を満たした後に検討が必要になるのが、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」のどちらを取得するかという点です。
両者は単なる許可区分の違いではありません。受注形態や事業規模、将来的な事業展開にも関わる重要な選択になります。
一般建設業許可は、自社施工や比較的小規模な元請・下請工事を中心とする事業者に広く利用されている許可区分です。
一方、特定建設業許可は、大規模な元請工事を受注し、多数の下請事業者を活用しながら施工体制を構築する事業者を対象としています。
どちらが優れているというものではなく、自社の事業内容や今後の事業計画を踏まえて適切に選択することが重要です。
特定建設業許可が必要になるケース
特定建設業許可が必要になるのは、発注者から直接工事を請け負う元請事業者が、一定金額以上を下請事業者へ発注する場合です。
現行基準では、下請代金総額が以下に該当する場合、特定建設業許可が必要になります。
- 建築一式工事:8,000万円以上(税込)
- その他の建設工事:5,000万円以上(税込)
なお、自社施工が中心である場合や、下請発注額が基準未満である場合は、工事請負金額自体が大きくても、特定建設業許可が必要になるわけではありません。
また、下請事業者として工事を受注する場合は、請負金額にかかわらず特定建設業許可は不要となります。
一般建設業許可と特定建設業許可の主な違いを整理すると、以下のようになります。

特定建設業許可は、大規模な元請工事を適切に管理し、多数の下請事業者との取引を安定して行うための体制を備えているかを確認する制度ともいえます。
特定建設業許可に求められる財産的基礎
特定建設業許可では、一般建設業許可と比較して、より厳格な財務要件が設けられています。
法人の場合、財務諸表等をもとに、主に以下の基準を満たしているか確認が行われます。
- 欠損比率:20%以下
- 流動比率:75%以上
- 資本金:2,000万円以上
- 自己資本:4,000万円以上
一定規模以上の元請工事を担う事業者として、継続的な事業運営や下請保護の観点から、財務面での安定性が求められています。
なお、許可行政庁によって確認方法や提出資料の取扱いが異なる場合があるため、実際の申請にあたっては事前確認が重要になります。
一般建設業許可が向いているケース
一般建設業許可は、以下のような事業形態に適しています。
- 自社施工の割合が高い
- 下請発注額が比較的少額である
- 比較的小規模な元請・下請工事が中心である
- 事業基盤を整えながら段階的な成長を目指している
建設業許可を取得する事業者の多くは、まず一般建設業許可からスタートし、事業拡大に合わせて特定建設業許可を検討するケースもあります。
特定建設業許可が向いているケース
特定建設業許可は、以下のような事業形態を想定している場合に検討が必要になります。
- 大規模な元請工事を継続的に受注している
- 一定規模以上の下請発注を行う予定がある
- 多数の下請事業者を統括する施工体制を構築している
- 将来的な事業拡大を視野に入れている
事業規模の拡大に伴い、一般建設業許可から特定建設業許可へ移行するケースも少なくありません。
許可区分の選択は経営判断の一つ
建設業許可は、単に取得できる許可を選択するものではありません。
現在の事業規模だけではなく、
- 今後の受注方針
- 財務状況
- 組織体制
- 将来的な事業展開
などを踏まえて判断することが重要です。
建設業許可取得後は、更新や変更届など継続的な管理も必要になります。
許可取得時点だけでなく、中長期的な経営計画も見据えながら、自社に適した許可区分を選択することが求められます。
まとめ
一般建設業許可と特定建設業許可は、事業規模や受注形態に応じて適切に選択すべき重要な制度です。
どちらを取得するべきかは、「現在の事業内容」と「将来どのような会社を目指すか」によって変わります。
制度内容を正しく理解したうえで、自社に適した許可区分を選択し、安定した事業運営につなげていくことが重要です。
次回は、建設業許可取得後に必要となる「変更届」や「決算変更届」など、許可維持に関する実務について解説します。